おひとりさま専用? 回転率重視ってこと? まあ、この店がどんな店であれ、喫茶店なんて小洒落たお店、ボクにはとてもとてもハードルが……
[そう、少年は踵を返そうとする。しかし。]
ぐぅぅぅ……。
[盛大に腹の音が鳴った。人間、センチメンタルな気分でも、お腹はどうしたって空くものである。
引き返そうとしていた足を止め、鞄の中に入っていた財布を引っ張り出して中身を確認してみる。喫茶店の相場は知らないけれど、払うに困らないくらいのお金はありそうだった。]
……。うん。
[ひとつ、小さく頷いて。そっと、『黎明街』の扉を開けた。]
すみませーん……おひとりさまでーす……。