[色素を擦り付けた紙、凹凸の彫り込まれた版、陰陽のグラデーションに意味を載せた電子の記憶。塩基の配列。振動の波形。
そこに言葉があった。
言葉はこの宙のおもてを覆い、生けるもの、死せるもの、そこにあったものの情報を著している。
消えてしまったものも多いのだろう。
それらの言葉のほんの一雫。ここに漂着した”言葉”に触れる]
ん……ここの頭文字の形、近代イキュコニ星語に似て──ないかぁ
集めたデータと全然パターン違う。読めない
[ぷす、と唇を尖らせ。それでも大切に、手にしていた薄いノートを箱に移した。綴じ目が毀れてしまっているから、要修復の分類]