星狩りの国-暁の街-

20 ― 遺されたモノたちの手紙 ―


弾振具 SAW-GK

[仕える者が居ないなら、役目は果たせない。
加えて、メモリーの大半はまっさらだ。
あぁ、どうしよう、どうしよう。
諦めず機械の破片をどかそうとしていたアームが、
駆動音を立てて、力なく地面へと垂れ下がる。]

  ここにクル、前のコト。
  僕……何も、覚えテ、ナイ。

[覚えていることといえば自分の製造番号と、
備わっている機能の使い方、していいことと駄目なこと。
他に何か少しでも覚えていることはないのかな。

ランプを黄色く点滅させて、
消えてない記録が無いか、僕は必死で探した。
だって。このままだと僕は何をしていいのかわからない。

そのときの僕は、目覚めたばかりの機械だったから。
この壊れた機械の山に留まりたいわけじゃないのに、
理由もなく何処かに行くことはできなかった。]

(15) 2024/05/10(Fri) 21:29:38

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