[背の高い人だった。顔を見つめる結月の顎はうんと上を向いた。目端に水気を残すだけの瞳でじ、と見つめる。時間にすれば一秒にも満たなかっただろう。半身を逸らせて衝突を避けようとする。彼の遮蔽が完全ではなかったからか、結月の小ささのせいか、先に進むことはそう難しくはなかった。] ……?[彼が何か呟いた気がしたが、咄嗟のことで聞き取れなかった。そのせいでぶつかりかけた謝罪も不満も伝えることができないまま、結月の身体は外へと放り出される。]