[──そんなことは、どうでもよろしい。
フットマンが自分の足で行って、自分の口で言いたい気分だった。
誰かと一緒にぞろぞろと歩いて遊びたい気分でもなかった。誰かについてきて欲しいほど、心寒くもなかった。
フットマンにはたったそれだけで十分で、それ以外に必要なものはない。]
──お嬢さん。
こんな騒がしい日に、こんなところで一人、
ぽつんと座っていたら危ないのではありませんか。
[アリシアが声のした方を見るならば、半笑いのフットマンがひとり、ゆっくりと彼女の座る枯れた噴水の残骸へ向かって歩いてくるのが見えるだろう。]