― 記録001:足跡 ―
[広大な灰色の大地は思っていたより寒くは無く、薄い雪上に似た感覚を足裏に感じながら、高まる鼓動を抑え、僕はゆっくりと歩き出しました。
当たり前のように残る足跡はこの場所ではとても特別な物で、未知の高揚がそこに在りました。
手を伸ばし続けた夢の果てに、自分はようやっとたどり着いたのです。
嗚呼、なんて、青い――……。
手を、伸ばす。目の前の、懐かしくも遠い青へ。
一歩踏み出す。かつての誰かと同じように。
足跡を、残す。共に積み上げてきた皆の為に。
歩き、辿り着いたのは夢の果て。けれど自分は、これがゴールで無い事を知っています。
1969年7月20日、20時17分。
我々の憧れは、あの時再び始まりました。
2024年の僕の一歩が、次の誰かの憧れに繋がりますよう。
繋げ、繰り返し、挑み続ける。
それが我々に与えられた使命なのですから。]