[曰く、吸血鬼の吸血行為は、人間にとってどうしょうもないほどの快楽を与えることがあるらしい。もとより下心や異性への屈折した想いを持っているような『色欲』の塊であればなおのこと。
その快楽が、今男はカペちゃんとキスをしているかのような錯覚を生んでくれているのだろう。抵抗する様子は微塵もない]
"ぐびり、ぐびり。"
うん、ダイエットしただけあって、前より喉越しが良くなってるね。
ありがと、パパ。ばいばいのちゅーも
サイッコーに美味しかったよ
あ、そうそう。今回分のお小遣いね。
多めに飲んじゃったから今回は少なめでもダイジョブだよ♡
えーと、ひーふーみー…ふふふっ♪
ありがとう、優しい優しいカペちゃんのパパ♡
[少女は、男の財布から札を何枚か抜き取れば、最後に頬にキスをしてやって、バイバーイ!と手を降ってその場を去っていく。
なに、相手を吸血鬼化するわけでもない、ただの餌相手にこれは実に優しい対応なのではないかしら?こんなに優しく接してあげてるカペちゃんは、なんて優しい吸血鬼なんでしょう!と快楽に脳をやられ意識朦朧としている『パパ』をおいて、カペちゃんは雑踏へと消えるのであった]