[ 壁に掛かったドライフラワーに物珍し気な視線を送って、ヒトガタ用の椅子に腰かける。
いつも座っていた椅子より硬い材質で出来ていそうだとか、頭の中にぼんやり浮かんだりして。 ]
[ 一所に落ち着けば、上官の口から自己紹介や事実確認、簡単な施設説明が紡がれる。
ジキセイは、これらを静かに聞いていた。
相槌として頷きはするものの、個としての何か……意見等を述べる事は無く。 ]
[ 相槌以外で口を開いたのは、例の文句の時だけ。 ]
『承諾』 します……、
[ 小さく、でもはっきりと自分の口から自分を殺すことに同意を示す。
こんな事を言う羽目になるなんて、数か月前の自分は夢にも思わなかっただろう。自分が此処に送られるような事をするとも、思えなかったものだから。 ]
[ だから少し……今はほんの少しだけ、自分に対して新鮮な気持ちが湧いたり、していた。 ]