[その日も僕はハーフィズに呼び出されて、彼個人の休憩室へと招かれた。
首を傾げる僕に、ハーフィズは言った。]
『シャト、お前の好きだった役者は死んだ。もうこの世のどこにもいない。
二度と舞台を踏むこともなければ、生き返ることもない。
お前も物書きは諦めろ。夢物語は、所詮夢だ。現実じゃない。どれだけ眼を逸らしたいことが起きても、現実は変わらない。
お前より遥かに才能に恵まれた人間が死ぬような世界で、お前の書いた物語なんか通用しない。だから、』
[その先何を言われたのか、僕はよく覚えていない。
感情の焼き切れる音がした。遠くで誰かの声がしていた。視界が揺れて、気づいたら取り押さえられていた。]