来園前:拘置所居室
[ヘロン・メイファという
人間は、単独室の窓枠にいつの間にか出現していた1枚のチケットを手に取りながら眉を顰めていた。]
(どこから飛ぶか湧くかしてきたか知らんが、余計なものを……。
これを一体どうしろと?)
[監獄程の隔絶こそないものの外部からの侵入や介入に対し警備が張り巡らされたこの拘置所に、どのような手段でこの謎のチケットが送り込まれたのかという問題もあったが、この
“混沌”には多くの未知が存在する。何者(何物)のわざがあったとしても、この“混沌”の広さを知る者であればそこまで驚くまい。
それよりもヘロンにとって問題だったのは――]
(「夢の中」
>>#1を文字通りの夢と捉えていいのか?
新手の脱獄ツールに安易に飛びついたことで
王城の咎めを喰らって取引不成立、だったら笑えんぞ……)
[この王国――“パンパス・コート”に住まう者たちからは勿論、王国外からの来訪者たちからも、その遊園地『ネバーナイトランド』の語を聞いた覚えはヘロンにはなかった。
それ故に、チケットに記された説明についてもここで初めて知った訳だ。]