[機械工ヘローは、相手が機械であれば、人間らしい偽装の中にもささやかな違和や特性を感じ取る勘に長けている。
けれども機械ならぬ「人間にみえる」生命体の素性まですぐに見破る程度の勘や魔術的な才覚までは有していない。
それでもこの時、カメラアイを通してヘローに“その姿”>>0:160が視えたのは、白い子犬を介しての縁か、それとも夢の不思議か。
いずれにせよ、ヘローはここで“人間以外の姿”が垣間見えたことには小さく驚いたものの、その姿そのものについてはすんなりと納得できていた。]
日々の生活の中で、自分の真実を他人に隠して
生きていく身であるなら、なおのことな。
いやまあ、君がそうとは限らないんだが。
[「人の姿纏う白き狼として」と直接声に出すことは避けながら、こう言い添える。
ヘローの出身地での公共の場で「人のカタチ」を強いられるのは機械>>0:264だけでなく、人間とかけ離れた姿の魔獣や、人間と部分的に異なる姿の妖精も同じだったのだ。]