しかし、「君」ってばかり呼ぶのも煩わしいな。[現に子犬と傘の主、両方とも同じ呼称で呼んでしまっている状態だ。 傘の主のほうに戻っていった子犬当犬(とうにん)からは、自らの声音でその名を聞くことは難しそうに思えたが] 私はヘロー。 挨拶のヘローとも、光輪のヘローとも覚えてくれていい。 雨傘の主よ、君の名をここで聞いてもいいかい?[手足の先に黒の映える白狼の姿にも映って見えた人の姿に対し、ヘローは機械の無表情のままのつもりで、問う。]