― 回想/1年前・春・四月/美術室 ―
[結月に声をかけた美術部員の顔は映らない。>>1
美濃伊緒だと分かるのは、結月>>0:320が彼女をそう呼び、
これまで彼女が幾度もシーンに登場してきたからだ。
知り合いも多く>>0:3、聞き役かつ受けてである女の子。>>0:12
人望ある彼女が相手の思いを引き出す場面は多くあるだろう。
今回のシーンも画面は美濃の話し相手である結月を映す。]
あー……すみません、大丈夫ですよ。
原因は分かってますから。任せてください。
[美濃は他の部員と同じように結月を扱う。>>2
結月もまた、そんな心優しい先輩に笑顔で答える。
画だけを見るならとても平和で、心温まる場面である。
だからこそ、薄膜を隔てた向こうの冷たさが際立つのかもしれない。]