[まあ、あれこれ考えてみても
所詮は悪あがきでしかなくって。
手は慣れた様子で髪を梳いて
勝手に準備を整えていた。
いつもは動きやすいように
二つ結びにしている髪を背まで下ろして
杏の花の髪飾りとミモザの花を丁寧に編み込んでいく。
髪の結い方は、
出てく時に自分の家財道具とか
なんもかんも持ってっちゃった母さんが
ボクに残してくれた数少ないものの一つ。
母さんは髪を結うのが上手で
ボクはそうして貰うのが好きだったな。
術の才能はからきしの母さんだったけど、
それはまるで魔法みたいで。
本当にお姫様になったみたいだった。]