星狩りの国-暁の街-

39 おひとりさまCafe7


少女 ドール

 
[ スープボウルに注がれたスープを両手で受け取り、
  小声で礼を言って、少女はほう、とかすかな息を吐いた。

  つやめく黄金色のスープが、水面のように揺れている。
  煮込まれた野菜たちの欠片をじっと眺め、
  白磁を指先で撫でたり、消える湯気を見送って。

  そういえば、となんとなく、店へ来るまでを思い出した。
  なにかが痛かったことだけ、憶えている。
  ──曖昧な傷を癒すようなスープの温み。

  一口飲んで、瞳を少し瞠る。
  やさしい匂いと一緒に、野菜の甘さが口へ広がり
  少女にも随分飲みやすい味だった。
  スープの中で踊っていた野菜もほろりと溶け、
  シンプルなのに深みのあるスープを数口飲んで。 ]
 

(26) 2025/04/12(Sat) 20:07:32

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