― 狂気は凶器と踊る ―
[銃を拾い上げた頃、ようやっと遅い野次馬が集まって来ており、わたしは暴動が始まる気配を感じ取っていた。
爆発音を聞きつけたのだろう。向こうの方に、駆け付けた看守の姿を確認する。
そうして看守も、わたしを見つけたのだろう。
手に拳銃をぶら下げ、足元には血を流す看守の死体を転がして。
ああマズイ、わたしはそう思った。
多分相手も、そう思った筈。
相手に飛び道具は無いらしい、警棒片手に、恐ろしい顔で此方へ向かって走って来る。
わたしを唯の、か弱い女と見くびって居るのだろう。]