――カフェ(過去軸)――
[彼女はどうやら私の気配に気付かなかったようだ。
それもそのはず、亡き夫を模して造られた家庭用アンドロイドとは仮の姿、その正体は――ヒーローよりニンジャ・カラテの極意を余すところなく伝授された拳法の達人・戦うカフェマスター「スイッセス・サン」!(※妄想内設定)
抜き足差し足忍び足などお手の物(アンドロイドなので本当に足音を消すことも可能)。きっと滑るようにカウンターに入り目にも止まらぬ速さで珈琲を淹れたのだろう。
その結果、見知りの女性に「わひゃあ」と言わせてしまうとは思わなかった。
申し訳ない。いや彼女は物思いに耽っていたので、突然の声掛けに驚いただけかもしれないが。
お詫びにとっておきの珈琲を御馳走しよう。]>>320