[ 村の中心から少し外れた場所にある、
小さな菓子屋『暁亭』。
どこか異国情緒な風情の内装に、
並ぶのはやはりこの村にはあまり馴染みのない菓子たち。
薬草の効いた飴に、餡が詰まった焼餅。
華やかな見た目とは言えないが
どこか素朴な東の味がするそれらは、
全て私の故郷らしき国の菓子達だった。
村の人々に受けると思って始めた商売ではない。
子どもたちも飛びつかないかもしれない、
そんな地味な商品たち。
店の床材は村の自慢の石工>>14に。
店の飾りとして、飴職人に飴細工を頼んだりしながら>>10
作り上げたその店は、
売上の為でもなく、どこかの誰のためでもなく
かつての幼い自分の夢を叶える為だけの
小さな夢の店だった。 ]