[祭りの時期はトラブルや、この地の気候や食に馴染めなかった観光客が耐えない。
傷薬、包帯、風邪薬、胃腸薬なんかが飛ぶように売れていく。
“ユークレース”に店員など居ないため、すべて一人で対応することになる。前日殆ど眠っていないこと—これは自業自得だが—も関係して、午後には流石に疲労が募った。
客が途切れたタイミングで目眩と睡魔に襲われて、外のドアに『外出中』の札を掛けた。]
すこし寝るか……
[卓上用の小さな蝋燭に火を灯す。
その上に水とラララシジミの入った陶鉢をセットしてベッドに倒れ込んだ。
火力が弱くてもいずれは沸騰する。しばらくするとラララシジミが絶命して、断末魔の叫び声で起きられるはずだ。]