では、私はここで失礼しますが――…
最後に一つだけ、お聞かせください。
貴方はあの、“正直者”のオーネストで
間違いありませんか?
カサブランカの中で噂になっていたのですよ。
年に一度白い花を、墓標なき瓦礫に捧げる男がいる、と。
[それである年に若い職員の誰かが「私も弔いをしたい」と言い出し、情報をもとに密かに白い大輪の百合を捧げに行ったことがあった。先程オクリビが得た引っかかり>>1:275はこれのこと。
といっても葬儀向けの百合からは花粉が除去されていたし、ついでに言えばそんな高価な花は容易に盗まれる>>0:153ので、オーネスト自身が大輪の白百合の痕跡を見たことはなかったかもしれないが。
答えがどうあれ、この後オクリビは肩に「鳥」を留まらせたままこの場を立ち去り、カタナに両手を添え直す。*]