現在・→トループのパン屋
[カランカラン、とどこも同じはずなのに妙に懐かしさを感じるドアベルを聞きながら、重い扉を開ける。ヒョコっと男が顔を覗かせると、カウンターでつまらなさそうに頬杖をついていた老人が、ぱっと表情を明るくした。]
よう、ジジイ。生きてたのか。
「だははは!蒼玉の坊主!お前も死んでなかったのか!」
[ゲラゲラと笑う店主に、男は肩を竦める。
休戦通告が出る前、思い出したカチコチのトループのパン。
それを作っている店が、このパン屋だ。
とはいえ、この店のパンが歯が割れるほどクッソ硬いだけなので、悪しからず。]