[3度目の脱走の失敗でこの環境では無理と諦めた。
魔法による監視カメラや探知機能などはあるのかどうか。
ピギーが気づいているかどうかは言われない限り分からない。
何かそれらしい言葉はあっただろうか。
罪悪感が渦巻く。
投げやり一歩手前の焦燥感と諦め。
この先どうするべきか何も見えなくなった。
ピギーに、外に出るつもりはなくなったと告げる。
1ヶ月の間引きこもろうと思う、と。
ただ本があれば嬉しい、そう付け加える。
希望を問われたなら、料理の本を望んだ。
服も頼むくらいはするべきかと過ぎり、内心で苦みを抱えながら、用意されていたシンプルなデザインのワンピースと同じような形とサイズで、もう少し綺麗な色で、と依頼をした。
食事は一緒でなくていい――とは言わなかった。
夜を過ごして朝を迎えるたび、窓の外を布団にくるまりながら眺め、青から紫、桃色になる頃にもう一度潜り込んだ。
指輪ではおはようを伝えるのが習慣になった。
一度始めたらしないのも不自然という言い訳で、返ってくると、ここにいてもいいような気持ちが湧いては打ち消した。]