[目ー民、眠眠眠]
まだまだ暑さが残る初秋、珍しくセミの声が聞こえて目が覚める。
眠い目を擦りながら玄関を出ると足元にひっくり返った命が。
(寝坊して土から出てくるのが遅れたのかな)
なんともいえない哀愁を感じた眠は、弔うためにそれに手を伸ばした。
その時―――。
ジジジジジジジ!!!!
消えたと思っていた命に火が灯り、元気よく空へ舞って行った。
まるで同情を嫌い、自身の力強さを主張するように。
自身の伸ばした手が払われたも同然なはずなのに、その姿を見て、なんともいえない嬉しさを覚えるのだった。
(頑張れよ、ルーカス)
【ルーカス人間】