[肘を曲げ九の字にし、差し出してみる。彼女が望むなら腕を組んで歩けたら良いな、というお誘いである。わたわたした彼女は私に掴まって歩いた方が安全なのではという考えもあるが、勿論、少し気取りたい気持ちもあった。
私は王子ではないけれど。本当は若くて素敵な男性がこの役目を担うべきだけど。
でも、彼女が若く美しい女性、お姫様なのは間違いないのである。
彼女は恋というものに思い悩んでいた。今もそうなのか、もっと違う問題を抱えているのか、私にはわからない。
道中、他愛ない話しになるもよし。彼女が何か打ち明けたい事があるのならそれを聴くも良し。そんな気持ちの提案である。]*