路地裏の入り口で
[残念ながらボクの”目”は良いわけではないので、武装していない相手が機人なのか一般人なのか解ることはない。けれど後ろから腕を引っ張られて止めるという動きに働いたのは、10年で培われた防衛本能か、咄嗟に足に力を込める
>>21。
振り返り赤毛に視線を向ける。赤毛は諭すような口調で別のところに行けと言う。正論だ。しかし彼がもう一度手を引いて引き離そうとするならば、防衛本能はより強く働いて咄嗟に足は地を蹴った。
ボクは後ろに数メートル”
跳んだ”だけだ。だからまだ全然歩み寄れる範囲には居る。特に注視もしていない通行人にしてみたら、別段何の変哲もないワンシーンだったかもしれない。
それでもボクと目を合わせており、普段からメトロポリス相手に戦っている機人だったならどうだろう?尋常ではないほど速い一瞬の動きを”普通”と見るのだろうか、あるいは・・・]
”里帰り”するんだ
ボクの家は、こっち。
[帰る家などないボクは云う。少なくともボクはまだ気づいていなかった。相手が数日、数週間前までは、戦場で刃を向けていた相手だっていうことを *]