――――回想[ それはいつかの日 遠くはない昔 隠れ路の鼠が鉄の鉛弾をあえなく撃たれ みっともなく地へ臥せる姿を見た時の言葉だ。 もっと他に言うべきことがあったかもしれず、 けれど当時の私には、それ以外も見当たらず。 鮮血の海に抜け殻がぽちゃんと沈んでいく。 歴史の闇に亡骸ごと彼の全てが消えていく。 私はただただその様を眺めながら 虚ろっていく死体の、閉じぬ瞼──開かれた瞳 まるで空を射抜くような双つ目を見遣った。 ]