[戦時下でなければ俺は工場<こうば>で働いている。質素な飯が毎日食えて、裏通りにボロい家を持てるくらいの賃金だ。風呂は三日に一回。安酒は週に一度。花は一年に一度きり。そんな生活をしているにもかかわらず俺はたまに酔うとホラを吹く。] 本当は、金庫一杯の金があるんだぜ 嘘は付かねえ、俺は“正直”者のオーネストだからな[まァたオーネストのお得意のホラが出たぞと、酒場の男たちが汚い笑い声を出した]