[この階層に集められるのは、
混乱の時代に国家とは思想を違えた政治犯の数々。
数年前淘汰されたカルト宗教の首魁、治安組織を裏切った天才ハッカー、かつて顔も名も捨て政界に潜り込んでいた他国のスパイ……
肉体労働の代わりに、その頭脳を。
囚われていると呼ぶには不釣り合いな待遇。
他の階層と比較すれば異常とも言える状況を作ったのは
例外なく終身刑以上の罰を受けた罪人たち。
この場所において肩書きは容易く形骸化し得る。
未だ現実を知らぬ若き新人看守が迷い込んだのは、
一瞬にして自らが狗と化す可能性のあるルールの渦中。
故に、実力主義の牢獄。]