工場のアジト
[『夜の女王のアリア』のボスが姿を消した。その一報が入るや否や、同志たちがアジトへと駆け付ける。玉座に最も近かった男の不在は、即ち我らの枷が外れたことを意味する。
“どこ”が殺ったんだ、と話題に挙がったが、誰一人それを知る者もなく。血気盛んなヤツは今すぐにでも出ようと立ち上がったが、ボスはそれを制した なぜかって?
『乱闘すら予想される今、直ぐに出ていくのは、よっぽど自信のあるやつか、莫迦のやることだ』
『ああ、それでいい。どこを潰すべきか、まずは戦況を見極めるんだ。愚かな“機械ども”を相打ちにさせてから、潰すんだ。なに、そこらの残党を潰す分には構わない だが“首”には手を出すな、活きのいい機械どもとまともに張り合っても勝算は低いからな』
『嵐に乗じて、俺たち鼠が反乱を起こしてやるのさ』
鼠たちはチームで動く。前線で戦う者、遠くから威嚇射撃をする者、さらに遠くから狙撃する者。俺は機械の身体も貫ける改造マグナムと、切れ味のいい大型のナイフを研ぎながら、ボスの話を聞いている。]