[日々不可能に挑み、見えぬ明日を見続けている。
生ある限り闘うことでしか得られぬ存在証明。
人は生きる機構があることで奪われ続ける。
現在の人類の多くは瓦礫の廃墟の谷の彷徨の民として生を受ける。「マルコシアス」がそうであるように機械の人類駆除の活動が比較的少ない非汚染地域周辺──未だ汚染地域の残るかつての各国主要都市とも言える──に拠点を置くコミュニティは少なくない。「箱舟」>>5は「マルコシアス」と活動範囲を共有しているコミュニティだった。神の信仰者と不信心者となると相容れない思想の集団だったが、どちらも所属人数は大規模コミュニティと比べて多いとは言えず、非戦闘員、特に子供の庇護に於いては共同で行っていることもあった。袂を分かつとも幼い頃から友人関係を続けていた二名の顔が浮かぶ。]
別れの言葉もなしだったけれど。
Amenとでも祈るのだろうな、神父たちは。
どうあれ僕達は地獄からの逃避行だ。
…振り返りはしないよ。