[男達がこの街に着いてから、一週間程になる。旅暮らしは不安定ではあるが、見た目の変わらない吸血鬼の身は元々、定住する事は難しい。男達の国は既にないので、厳密には彼はもう王子ではない。主の財産で養われているわけでもない―どころか、現在は半ば、男が生活費を稼いでいる状態である―が、それはもう習い性のようなものだった。王子は男が仕える前から吸血鬼で、男は主に仕えていく為に吸血鬼となった。上手くいく保証はどこにもなかったが、男は見事に成り果せたのだ。]