星狩りの国-暁の街-

26 ― 境界の先への手紙 ―


越境貿易商 マーチェンド


 妖精の“女将”――エナガは、隻眼を縁取る白黒のつけまつげを瞬かせていた。
  ある時、エナガから零された。
  王城に入れないながらも王の衣装を任されていた
  優れたお針子の妖精のエナガは、
  王の怒りに触れたために片方の眼を奪われ、
  お針子の任も解かれて、今に至るのだと。


 それまでの屈託ない笑顔は少しだけ強張り、それから、苦笑の形に緩んでいた。
  ある時、ヘロンから聞かされた。
  この国を華やかな装いで歩く“人型”の民には、
  身体に負荷を掛けて人に擬態するモンスターや
  ヒトに似せた高額な外装を維持し続けるメカも、
  少なからず存在するのだと。

(36) 2024/09/24(Tue) 20:08:11

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