(――待って、待って!)
[誰かが通った後を辿る。誰かが切り開いた道を辿る。
あちらこちらでダウンし伸びている看守の横を走り抜けながら、わたしは高い空の下、船に向かって必死に足を動かす。
不意に、空間を割り砕くような爆音が背後で鳴り響き、同時に地面が大きく揺れた。>>#1
こんなに滅茶苦茶に壊すなんて、わたし、何も聞いてない!
残して来たフィアはどうなったの?
ピクニックには付いて行かないからって、お別れって、さよならって、そう言って別れたフィアは?
こんな事になるなら、無理やりにでも連れてこればよかった――!!
視界を涙で滲ませながらも、もつれた足に躓いてしまわないよう、今は唯、向こう側へ。
獄内を駆け暴れまわり、重いバール片手に最後の大立ち回りであると、銃を持った看守との一騎打ちの果て。
既に体力は殆ど残っておらず、荒い息は眩暈を伴い、思考にかかる靄が増えて行く。
でも、何か、アレっ、て、
なんか、変か、も……。]