[昔むかしのおとぎ話。ふたりのちいさなきょうだいが幻の星を見つけにいく物語。きらめく幻の星、それを目指して歩いて行けば、ずっとずっと会いたかったおばあちゃんがお星さまになってふたりを待っていました。輪廻転生、そんな言葉を知ったのは、この絵本です。
大切に、だけど擦り切れるほど読んだその絵本には、裏表紙に、幼く拙い文字で < Cattleya > < Jasmine > と記されています。
わたしは裏表紙をそっと指でなぞります。移住するには余りに少なく、旅行というにはそれなりに多い大きな荷物、身の回りのもの以外にあまり大切なものはなかったけれど、いくつかの大切なものがありました。この絵本も、そのひとつです。
絵本を鞄の上にのせたなら、さあ今日は何をして過ごしましょうか。船室から外に出たかもしれません。]