[……それでも。
俺が電脳化された人間に抱く感情は、決して良いものではない。……否、正確に言えば「電脳化の技術を持つ人間」に抱く感情は、だ。それを推進しようとする者、広めようとする者。そんな奴らに覇権を取らせるわけにはいかない故に。俺は、戦う。
10年より前の俺のことを知るやつがいたならば、同じボロい家の中に、もう一人女性が住んでいたことを知る人だって居ただろう。絶世の美女ではないが、慎ましくも気立てのよい女性で、どこかいつも青白い顔をしていたこと。そのころの俺は、今よりもう少しだけ、幸せそうだったこと。
10年前を境に、女性が、街から消えたこと。 **]