回想:ハリコと
[彼女に会ったのは、さて、いつだったか。
自身がまだ看守側であった時か、それともすでに仲間入りしていた頃か。
どちらであっても、些細なことだ。
いつも通りの巡回をしていたときのことだった。
雑居房から隔離された彼女だけの独房の前で、見知った顔が何やら話し込んでいる。
彼の担当はここではないはずだ。]
何をしている。
[振り返った男の手には金が、その向こうには怯えた様子の女性がいた。
男が何かを言う前に鳩尾に一発、すぐさま足を払い、握っていた金を奪う。
男を適当に転がして、奪った金を女性に渡す。……彼女が自分を恐れるようなら、近くのテーブルにでも置いておくだろう。]