── とある研究所の一室 ──
[研究室の片隅にある檻の中のねずみたちに呟き溜息一つ。
エサをやれば手の中でちゅーちゅー鳴いている。
この研究所の一室だけは俺の管轄だった。
だが、自由に行動できるのもこの部屋だけだった。
外に出れば大手製薬会社の跡取りとして勉強や習い事の数々が詰め込まれ、自由に遊ぶことすらできない日々。
優秀な父の血と頭脳を引き継ぐのが俺だけだから。
だから、俺は捕えられて日々跡取りとしての芸と毒を仕込まれる。
友達は……、檻の中のねずみだけ]
今日、俺の誕生日なのに誰も祝ってくれなかった……。
母さん、元気かな……。
[俺はかつて一緒に暮らしていた母の事を思い出し、
思い出を振り払うように頭を振った]