[国中から似た容貌の者を集めてきても、主の“運命の相手”はいなかった。唯一無二の存在は、主にしか分からない。彼は自ら“運命の相手”を探し歩くようになった。“運命の相手”を探す旅は、最初は母国の付近だったが、だんだんと離れた場所に赴くようになった。そうなると多くの伴を連れ歩くわけにもいかない。──出会えても、また失ってしまうかもしれない。人間の身では終わりを見届ける事が出来ないかもしれない。そんないつ終わるかも分からない旅路。それについていく為に、男は人間である事を捨てたのだ。]