「マーチェンド、マーチェンド。
素直に言えばいいのに。
あたしを外の世界に連れ出したいって」
ああ、この妖精の隻眼には、人間の真意もお見通しらしい。
また別の時に、ヘロンから聞かされた。
この王国を支配する人間たちは、
衣装や化粧を劣らせぬ身体美をも作るため、
妖精や魔獣から魔力を搾取しているのだと。
そして魔力どころか、その身体の「素材」をも
衣装や装飾品の材料にしている、とも。
そうまでしてでも、この地の王城の人間たちは、
「美貌」を至高とする妖魔たちにも劣らぬ美を、
尊大なまでに追及し続けているのだと。