[……ふと、机の上の本をめくる。
『メディレアの子守唄』そう表紙に書かれた毒学研究書。>>5
過去に実在したと言われる魔女の毒の製法が書かれた本。
現代医療が進歩した今では古めかしいその本。
俺は時々その本を読んでいた。
母さんと引き離された時に大切なものは全て失った。
玩具も、友達も、子供らしい遊びも振る舞いも、全部。
その中には母さんに読んでもらった童話の本もある。
悪い魔女が色んな毒を作ってイジワルする話。
その童話の元ネタというか、
本人が研究したとされる毒薬の数々が載った本。
読めば少しだけ母と読んだ童話を思い出して、本を読む声や温もりを思い出せて気分が落ち着いた]