星狩りの国-暁の街-

26 ― 境界の先への手紙 ―


越境貿易商 マーチェンド



「……はは。叶わないですね、貴女には。
 流石に解ってるとは思いますが、
 別にプロポーズの心算じゃありませんよ?」

 「ええ、ええ、マーチェンド。
  これがプロポーズだったら素敵だったのに。
  今日という日が、至高の光たる高貴な方々の
  建国記念のファッションショーだけじゃなく、
  あたしたちの記念日にもなっていたのに」

  そして昨日、トーチバードの外装確認後、
  エンジニアの工房の立ち去り際に、
  耳打ちの形でヘロンから聞かされた。
   ああ、この国では機械からの電波も、
   術による念話もしばしば傍受される――
   この地の電波事情の悪さはその所為らしい。
   故に耳打ちで密かに教えられたこと。それは、

(39) 2024/09/24(Tue) 20:18:00

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