[ 徐々に賑やかになりつつある広場や村の通り。
行き交う人々を眺めながら、
来てくれたらどうしようか。来なかった時は…など
ぐるぐると思考を巡らせていた私は、
すぐ後ろに迫る気配に気づいていなかった。>>29
つん、と小さく上着が撓む。
はじめは何かがぶつかったのかと思い、
不思議そうに振り返って。
控えめに呟かれる朝の挨拶の声と、
待ち望んでいた彼女の姿を見た瞬間。 ]
────………!!!
[ ブワッ…と自分の体を春風が吹き抜けるような
言葉にできない思いが全身を駆け巡り
暫し言葉を失ったように、彼女の姿に釘付けになった。>>25 ]