[ ピシリ。[その背に、脊柱に沿って縦一直線に裂け目が入る。 メリメリとせり上がってくる肌は瑞々しく。 鞭が刻み込んだ痣は綺麗に消えている。 毒にまみれたものから。 薄汚れたものから、新しいなにかに変わるのだ。 例え、見た目は全く同じだったとしても。][きょうだいは、甲殻が柔らかかったから大怪我をした。 自分だって、脱皮直後のこの時だけは柔らかい。 鋏化させた指を折り曲げ、手首の縛めを解く。 苦心はしたが、少し緩んでいた首輪すら、 輪になった形をそのままに外すことができた。]