あのう、喫茶店で頼むのは、ちょっと違うかもしれないんですけど。
クッキーって、お願いできますか。ううん、凝ったクッキーじゃなくて、バタークッキー。
できれば……できれば、骨、みたいな、形の。
いや、変なこと言ったかも。忘れてください。
でも、クッキーを、ください。それから、紅茶をストレートで。
[心に任せて口から出たのは、おおよそ喫茶店では出てこないであろう菓子の名前。なんでその形がいいのかなんてさっぱり思い出せないけれど、形の指定付き。
少年が思い浮かべているのは、例えば、犬が咥えているような、両端が丸まった棒状の骨の形。
でも。形の指定はやっぱり無理なんじゃ。と思い、一度撤回する。『善い魔女』が出している店なのだから、きっとなんでも出てくるとわかっていても、どこか躊躇してしまう。
それでも少年は、心のなかでは、やっぱりなぜか、そんな形のクッキーを期待していた]**