[ せめてもの情けとして、清潔な白布一枚 母親へと手渡してやる。 いつまでも親のエゴで連れ回される抜け殻が哀れだった。 早く葬送してやるといい、と告げ 私は肩を回して背もたれへ深く凭れ掛かる。 ] ああ、疲れた 軍医が診るべき軍を離れて、わざわざこの地まで、 民間人を治すためにここにいるんだ。 どうしてこんな説得まで……。[ 吐き零した溜息は、大きい。** ]