[罪、という定義は己にとって酷く曖昧に思えた。国民を愛し、守る王とその側近と。彼らを支える軍部。そしてその愛と資源を享受する国民たち。その愛に背くことがない限り。国民は愛を疑うことなどなく、過ごすことになるのだろう。城の食堂や、城下町の店のスープには複数の野菜が浮かび城の外壁や内部には、嘗ての遺産――科学の残骸らが或いは過去の遺物が生活を支えている>>1― 罪、という定義は。ある誰かにとって罪ではなくとも。国が裏切りというのなら、それは罪であったのだ。]