[俺は遊郭の最下層に産み落とされた孤児だった。
父も知らなければ母も病で物心つく頃には死に別れ、俺は日々の食い扶持を稼ぐために幇間の真似事なんかをして色んな店の宴を盛り上げた。
芸に歌に楽器に話術、生きる為なら何でもやった。
幸いにも俺は器用で見た目も悪くなく、それなりの年になり幇間として引く手数多の存在になった。
このまま俺もなんとか生きていける。
そう、思ってたんだけどなぁ……。
ある日、太夫に入れ込んだ客が起こした刃傷沙汰に巻き込まれ、俺はあっさり刺されて死んだ。
おいおいおいおい!俺無関係だぞー!!
そう死ぬ間際に思っていたら耳元で囁く声がした。
『吸血鬼になっても生きていたいか?』
俺は囁く声に必死に頷いたね!!
こんな所で死んでたまるか!
俺はもっと粋で自由に生きたかったんでぃってな!]