[カウンター席に腰掛ければ、『ばーばさま』が、おしぼりをひとつ、水をひとつ差し出してくれた。]
あ、ありがとうございます。
[少し熱さを感じるが、気持ちのいいおしぼりで手を拭いて、水をひとくち、飲んで。]
食べたいものを……心に?
[そうして、『ばーばさま』に言われたことに首を傾げた。
ぽっかり穴の空いた心では、食べたいものなんて思いつきもしなかった。あまいもの、からいもの、しょっぱいもの。そんなものも思いつかなくて。]
ええと、メニューとか……。
[なにか基準になるものが欲しくて、メニューか何かがないかを『ばーばさま』に問おうと、口を開いて、彼女がスープをよそってくれているのに少年は気がついた。]
あ、それなら、そのスープ。ください。