― 春・四月/図書室 ―
[先程の賑やかな移動とは打って変わり、図書室。
私語厳禁であるが故に、
ページを捲る音やペンのぶつかる音が際立って響く。
窓の外では部活動が行われているのだろう。
吹奏楽部や軽音部が演奏する音も聞こえてくる。
――そこに、美術部の音はない。]
……。
[カウンターに腰かけた少女は静かだった。
普段の軽快な発言がないからだろうか。
笑い合う友人が傍にいないからだろうか。
その瞳は凪のように静かだ。
作業を終えてしまったせいで手持無沙汰なのか、
ぼんやりと窓の外を眺めている。]