[ユラに瞬かれ――此方の素性をストレートに言い当てられ>>36、機械の身体の筈なのに何故かドキっとする感触を得た。
機体はあくまで無表情のままだが、人間の姿のほうは明らかに眉を寄せて弱り果てた顔をしている!]
あー…バレたか。いや、他の子にもいきなりバレたんだけどな。
私も気が付いたらこの姿になっていただけで、
別に正体を隠す心算はなかったんだが……いや、隠してた。
[偽名を名乗った時点で隠す気満々だったよな??と内心振り返りつつ、ユラに耳打ちをしようと前に踏み出す。
あまり遠慮する素振り無しにユラに近づこうとしたのは、相手がヘローを女性だと感じているらしい……と思ってのことではなく、素の行動。]
ヘロン・メイファ。こっちが本名。
この名は極力、他人に聞こえる場所では
呼ばないで貰えると、ありがたい。
[囁くような小声でわざわざこの名を明かしたのは、嘘をついたことへの罪悪感から。とはいえ此方からも「白き狼なのか」と切り出さない程度には、さっき垣間見た雨とふたつの影の色>>34が心のうちに未だある。
ちなみにだが、「ユラ・サブリィテ」の名が偽名だとは特に考えてはいなかった。聞いたことのない姓名ながらも、なんとなく本名と捉えていいような、そんな気がしていただけのことだ。**]